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村沢義久のソーラービジネス最前線 Vol.10 元東京大学特任教授 コンサルタントや、金融での経験を元に、化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱。電気自動車の普及と太陽光発電を中心とした低炭素社会の実現に注力。

太陽光発電のエキスパートとして、様々な事業者へのコンサルティングも手がける村沢氏による、“旬な話題”。今回は、「蓄電池が拓く太陽光発電の未来」について。

買取価格低減にはコスト削減で対応蓄電池導入で太陽光発電は本番へ

主要部材コストの低減率は買取価格の低減率より大きい

2017年度の産業用太陽光発電(10kW以上2000kW未満)の買取価格がkWh当たり21円になる。初年度(2012年度)の40円からほぼ半減。「もう終わった」という業者は少なくないし、銀行なども「これだけ下がったので難しいでしょう」などと言う。一方、私の周辺では「これからが本番」と意気込む業者も多い。

ポイントは、コスト削減だ。2012年当時、パネルはワット当たり150円、パワコンは50円、合計200円程度だった。しかし、現在はパネル50円、パワコン10数円、合計60円程度。
主要部材コストは3分の1以下に下がっているのだから、現在程度の買取価格低下は問題ではないはずだ。ただし、前途に不安がないかというとそうではない。今後の心配は、電力会社による出力制御だ。

種子島で出力制御相次ぐ余剰電力の活用が重要に

九州電力は、この年末年始に鹿児島県の種子島において、再生可能エネルギーによる発電の出力制御を繰り返した。2016年12月に3回(6日、10日、11日)、2017年に入ってからも2回(3日、4日)。

種子島や壱岐(長崎県)のような離島の多くは本土と隔絶されているため、島内だけで電力の需要と供給のバランスを取る必要がある。そのため、電力需要が少なく、太陽光発電による供給が多過ぎる場合には出力制御を実施している。

日本における出力制御は、九州電力が2015年5月5日に種子島で実施したのが初めての事例だが、今後は、本土でも起こり得る。単に発電を止められれば大きな損失になるので、余剰電力を蓄電池に貯めておき、夜間など、太陽光発電が止まっている時間帯に売電するという運営が必要になる。

2019年問題と自産自消への移行

家庭用分野でも蓄電池の必要性が高まりつつある。現在の固定価格買取制度が始まったのは2012年だが、家庭用の余剰電力買取制度は2009年に始まっている。その買取期間は10年。つまり、家庭用分野では、2019年には買取期間終了を迎える人達がいるのだ。これが、「2019年問題」だ。

買取期間終了後にも、電力会社による買い取り自体は続くようだ。しかし、価格は大幅に下がることになる。業界関係者の間では、家庭用電力料金と同レベル(24〜25円)という見方もあるが、「15円程度」などの悲観的な憶測もなされている。

売電価格が電気代より安くなるなら自分で使った方が良い。とは言え、昼間に発電した分全部を使いきれるわけではないので、家庭用蓄電池に貯めておいて夜間などに使おうという訳だ。

しかし、問題はコスト。パナソニックの家庭用システムは、容量5kWhで90万円(メーカー希望小売価格)。これは5kWのソーラーシステムの1時間分の発電量を貯められる容量だ。一方、5kWの家庭用太陽光発電システムは、標準で150万円程度、安い業者なら125万円でできる。つまり、蓄電池を導入すると初期コストが倍近くかかってしまい採算が取れなくなる。

買取価格は今後とも低下し続けることを考えると、蓄電池代も数十万円まで下げる必要がある。そこで、私が救世主として期待するのが、テスラのパワーウォール。10kWhモデルは3500ドル(約42万円)という驚きの低価格だ。さらに、大手のフォーアールエナジー(日産と住友商事の合弁)やベンチャーのオズコーポレーション(横浜市)などが日産「リーフ」搭載のバッテリーを定置型として再使用するビジネスを開始しており、軌道に乗ればテスラより安くなる可能性もある。

日本の電力の主役は太陽光発電である。ただし、いつまでも買取制度に頼っているわけには行かず、自産自消型に移行する必要がある。その成功の鍵を握るのが蓄電池だ。